先日、ウエストミンスター大学栄養セラピー(Nutritional therapy)コースの創設者であるへザー・ ローザにインタビューしました。ウエストミンスター大学には代替医療・セラピーのコースがあり、その中にはホメオパシー、西洋ハーブ医学、鍼灸および中国医学、ナチュロパシー、理学療法およびマッサージ、そして栄養セラピーのコースがあります。 この日は現在栄養セラピーコースで学んでいるYusukeさんにも参加して頂き、へザーの事務所で行われました。
黒川陽子: あなたの経歴について教えて頂けますか?
へザー: 栄養セラピーの道に進む人によく見られる動機が自分自身の健康に問題を抱えている人達です。私の場合もそうで、子供時代から体の弱い子でした。しかし、親元を離れ自分で自分の健康問題に向き合ったとき、食事の改善と基本的なサプリメントを摂取することによってだんだん健康になっていったのです。それからは、健康な食事とサプリメントに興味を持ち自分でいろいろと試してみるようになりました。私は最初、体育科の教師になる為の勉強をしましたので、運動に関しては知識がありましたが、食事・サプリメントと健康に関しては自己知識にとどまったものでしたので、もっと勉強したいと思ったのです。
陽子:それがこのコースを創設した理由の一つですか?
へザー: このコースを創設した理由は他にもあります。私は自分の健康管理にとても興味があったので、大学卒業後は健康食分野における仕事に就きました。最初は健康食品店のマネージャーとして働き、お客さんにサプリメントや健康食品についてのアドバイスをしていました。当初はこの会社から受けたトレーニングに基づきアドバイスを提供していたのですが、6年間働いていた間に社員にプロダクト アドバイザーになる為の社員教育全般を任せられるようになりました。このあたりからだんだんと正式に栄養学の勉強がしたいと思うようになりました。しかし、1982年のイギリスではもし正式に栄養学を勉強したければ栄養士になるしかありませんでした。栄養士は病院で病人の治療をしている人達の事で、私の求めていたものとは違いました。もっと、健康食やサプリメントを扱ったもの、予防療法を含めて勉強したかったのです。その当時そのような事を教える学校はパトリック ホルフォードが創設したインスティチュート オブ オプティマム ニュートリション(Institue of Optimum Nutrition)しかなかったので、私はそこで勉強しました。彼らは通信教育の形をとっていたので、マンチェスターに住みながら時折ロンドンの学校にも出席しては勉強しました。
陽子: そのコースを終えてどうでしたか?
へザー: 私は教師として学位を取ったこともあり、この学校の教育の質を客観的に観察することが出来ました。この学校を卒業した後、実は栄養セラピストとして働こうと思ったのですが、何かが足りないと感じるようになりました。実践的な訓練が欠けていたのです。患者とどのように接するかは、ホリスティック医療に関わる人には特に重要です。栄養セラピーの教育制度を向上させなくてはと思っている間に、ほかの専門学校と関わりを持つようになりました。レイワース センター(Raworth centre)、2年制の専門学校で栄養セラピーのコースを創設する事になったのです。1987年のことです。実はこの事によって、私の名前はこの業界に知られるようになりました。私はこの専門学校で10年間、副校長をしていました。
陽子: レイワース センターは今でも栄養セラピーを教えているのですか?
へザー: ええ、今でも教えています。この学校とはとくに私達は親しくて、この学校を卒業した生徒はウエストミンスターの栄養セラピーコースの2年生に編入できるようになっています。
陽子: レイワース センターと関わった後に、何か思ったことはありましたか?
へザー: 私この専門学校にいた頃は、栄養セラピーに実践的なトレーンニングを取り入れより包括的な教育を目指していたのですが、その内に栄養セラピーにはもっと高いレベルの教育が必要だと感じるようになりました。大学教育が必要だったのです。その頃、ウエストミンスター大学のブライアン イスベル博士が英国で最初の代替医療のコースを創設しているところでした。
陽子: それはいつ頃ですか?
へザー: 1995年頃だったと思います。イスベル博士は当初、鍼灸とホメオパシーの専門学校を大学に招待しコースを設立していました。その2年後程、イスベル博士は他の代替セラピーのコースの増設も考えており、西洋ハーブ医学と栄養セラピーのコースの設立の為、私も招待されました。栄養セラピー教育を大学レベルで行う事は私自身も考えていたので、このチームに参加しコース設立となったのです。レイワース センターとは違う独立した形で創設しました。栄養セラピーを大学レベルで教えるのはとても意義があります。というのは、病院で働いている栄養士と同等に扱われ、医者や病院関係者から認められる事になるからです。それから私がコースリーダーになり、現在に至っています。
陽子: 栄養セラピーコースの設立は1998年頃ですか?
へザー: そうですね、その頃に設立準備を整えていたと思います。その頃は栄養セラピーに関してこのような学位レベルのコースは世界でも初めてでした。
陽子: その頃はインスティチュート オブ オプティマム ニュートリションやレイワース センターの他にも栄養セラピーのコースはありましたか?
へザー: 6つか7つ程のディプロマ取得可能な専門学校はありました。
陽子: あなたの意見では、ウエストミンスター大学の栄養セラピーコースをどのように評価していますか?
へザー: リーダー的な存在であると思っています。イギリスは殆どの大学が国立で国が大学のレベル維持と向上を常にチェックしています。このコースも過去8年の間に様々なチェック受け向上を重ねてきました。また、大学には他の代替セラピーのコースもあるので生徒は他のセラピーとのコラボレーションも学ぶこともできます。これはホリスティック医療には欠かせません。しかし、なんと言っても一番の強みはウエストミンスター大学にはクリニックが併設されている事です。生徒は本当のクリニック現場で実践的に学ぶことができます。代替医療の教育現場でこのような本物のクリニックが併設されているのは、ここの大学のみです。クリニックの質を上げるためにも努力はされており、クリニックで働く先生方にも常にセラピストとしてのテストがなされています。大学というのは常に最高の教育レベルを求めるものなのです。
陽子: その他に大学という環境で学ぶ強みはありますか?
へザー: さっき言ったように、大学は常に最高の教育レベルを求めるものですが、それには大学の設備も含まれます。コンピュータをはじめあらゆる機器、科学研究室、図書館をはじめ常にその質が向上されています。これは、ほかのプライベートな専門学校はかないません。とてもお金のかかる事だからです。
陽子: このコース開設以来、カリキュラムの変更、向上などはありましたか?
へザー: 当初に比べると大分向上しました。私達は生徒からも意見を取り入れ、また生徒の成績向上を見計らいカリキュラム変更を重ねてきました。また、栄養セラピーまた代替医療を取り巻く法律にも常に注意を払い、カリキュラム作成に取り入れています。以前は知名度の低かった栄養セラピーですが、現在では正式の規制機関である Nutritional therapy council や、正式な栄養セラピー プロの団体British Association of Nutiritonal Therapyも発足し、年々栄養セラピービジネスの地盤を固めています。ウエストミンスター大学栄養セラピーの卒業生もこれらの活動に関わっています。私がこのコースを始めたころは、栄養セラピーの教育レベルの設定がしっかりしていなっかたのですが、今では英国職業基準(National Occupational Standard)でも設定されており、この基準に基づき栄養セラピー評議会により教育レベルが管理されています。私自身も栄養セラピー評議会の教育部門の顧問をしています。英国職業基準と栄養セラピー評議会の発足により、栄養セラピーの教育は今までになく高いレベルに発展しています。
(パート2につづく)