Posted on 3月 24th, 2008 by admin
Category: 日経ビジネス連載
近頃、あちこちでサプリ疑惑が浮上している。ひとつはアガリクス問題。厚生労働省は「キリン細胞壁破砕アガリクス顆粒」に発ガン促進作用があると公表し た。また、アガリクス商品を売らんがために、根拠のないデータや嘘の体験談を載せた“バイブル本”を発行した、史輝出版の役員らが逮捕されている。
大豆イソフラボンの話題も、一般紙で取り上げられた。「特定保健用食品(通称トクホ)」に関しては、一日の摂取基準値を30mg以下とする、というものだ。根拠の一つは、閉経後の女性が摂取して子宮内膜症の発症が高くなったというイタリアのある大学の研究結果だという。
前者については「フキノトウやワラビに含まれる発ガン物質は問題視しないじゃないか」「塩やコーヒーだって発ガン作用があるだろう」と文句が出る。あるいは 後者なら「日本で過剰摂取の健康被害は起きていない」「日本女性に更年期障害が少ないのは、大豆を食べているからだ」と異論が噴出する。
果たして、効くか効かないか、多いか少ないか、といったことを云々する科学的根拠に“正解”はあるのだろうか。もし「ある」として、それは誰の、どんな目 的に対して答えているのか。がん患者にがんの完治を約束するためのものか、子宮内膜症で悩む女性を治療するためのものか。
サプリメントに、そうした目的はそぐわない。多くの素材には様々な機能があるが、それは「病気や症状」に向けられたものではない。体質や食習慣の異なる「人」に向かって働くものだ。
(後藤典子=NPO日本サプリメント協会代表理事)
Posted on 10月 24th, 2007 by admin
Category: 日経ビジネス連載
鳥インフルエンザH5N1が人に感染したのは1997年の香港だった。
現在、WHO(世界保健機構)には少なくとも69人の死亡が報告されているが、さらに新型インフルエンザに変異して猛威を振るう可能性に脅かされている。かつて米国で、感染症に対する勝利宣言が行われた1967年から数えて30年、今昔の感がある。
厚生労働省は治療薬「タミフル」を頼みに2500万人分の備蓄を決めたというが、発症後48時間以内に服用しなければ効果は薄れるというから、早い対処が必要だ。中国ではタミフルの原料である香辛料の「八角」が飛ぶように売れているというが、10段階もの化学反応を経て合成されるため、八角ではなんの効果もない。念のため。
やはり頼みにすべきは、本来、人間に備わっている生体防御機能を日常生活の中でどう強化するか、だろう。
防御機能の最前線は、皮膚と粘膜だ。健康な鼻や口、喉の粘膜は、生体内への異物の進入を防ぐ。ビタミンAや亜鉛、セレンはこれらのバリア機能強化に欠かせ ない。そして二次防御システムは血液(白血球)の免疫力だ。侵入してきた異物を食べる食細胞や、攻撃型のキラー細胞、抗体を作るBリンパ球などが感染を阻 む。このときビタミンCは、白血球の自走能(異物を処理するまでの能力)を高める。加えてタンパク質は抗体の材料にもなる大切な栄養素で、免疫システムを 支える。
それでも引いたかな?と思ったら、オリーブ葉やエキナセア、ニンニク、アンドログラフィスなどのエキス類が初期症状にはたらく。
(後藤典子=NPO日本サプリメント協会代表理事)
Posted on 9月 24th, 2007 by admin
Category: 日経ビジネス連載
近頃はデトックス、つまり「解毒」と いう言葉が形容詞化して、サプリメントや食事、化粧品や健康法などを飾っている。なるほど環境汚染が進む現代、排気ガスや紫外線ばかりか、魚介や米、野菜 などがもたらす有害金属の体内蓄積は見過ごせないレベルにある。厚生労働省がメカジキやマグロなどの魚介類の妊婦への摂取基準を出しているのも、胎児への 水銀の影響を問題視しているからだ。また水銀は、加齢とともに蓄積され、その影響が強まるという。
水銀のほかに、カドミウム、ヒ素、アルミニウムなどがあるが、こうした有害ミネラルは、必須ミネラルと似た特性を持つため、必須ミネラルが本来果たすべき役 割、例えば酵素活性や細胞の情報伝達といった機能を、競合して妨げるという弊害をもたらす。その結果、アトピー性皮膚炎や角化症、高血圧、骨粗鬆症といっ た身体症状が引き起こされるのだという。またうつや情緒不安定といった神経障害も、水銀や鉛が影響するというデータがある。
こうした背景から、足すだけの栄養学ではなく、排泄や浄化解毒をとりいれた“+(足す)と-(引く)の栄養学”が注目され始めたのである。
で は引き算の手法はというと、キレーション療法やハーブ、マッサージ法など賑やかだが、基本はもともと備わっている解毒機能をいかにメンテナンスするか、 だ。ミネラル水をしっかり取って尿を出す、便通を良くする、肝と腎の機能を保つ生活習慣に配慮する。加えて、有害ミネラル無害化の機能を持つセレンや亜鉛 などのミネラルを含むベースサプリメントの補給だろう。
(後藤典子=NPO日本サプリメント協会代表理事)
Posted on 8月 24th, 2007 by admin
Category: 日経ビジネス連載
魚を食べると頭が良くなる、という説がある。その有効成分は魚油に含まれるEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)というω-3系の脂肪酸だ。臨床試験では、認知症やうつ、アレルギーなどの改善に効果があるとされている。
このω-3系脂肪酸と拮抗する存在として、ω-6系 脂肪酸がある。天ぷら油やマーガリンに入っているリノール酸がそれだ。昭和40年代から、動物脂肪のバターをやめてマーガリンにしようという“リノール酸 神話”が始まり、現在私たちは1日あたり約11gのリノール酸を摂取している。ちなみに必要量は2g程度だ。長期にわたるリノール酸の過剰摂取が、がんや アレルギーの原因となるプロスタグランジンE2という物質をつくり出すという。
ω-6とω-3はどちらも健康維持には不可欠の必須脂肪酸だが、問題は、リノール酸を含む食品が増える一方で、魚を食べなくなったために、両者の摂取バランスが崩れてしまったことにある。現在DHAの摂取量は1日400mgだ。願わくば、ω-6とω-3の比率を4:1にもっていきたい。
ω-3を食品で取るなら、α-リノレン酸を含むシソ油や亜麻仁油、くるみ、海草類に、EPA・DHAを含む魚介類をしっかり食す。DHAをサプリで補うなら1日摂取量は500~1000mg。
ついでに「トランス脂肪酸」をご存じだろうか。植物油の工業的処理によって生じ、広く食品中に含まれるが、過剰摂取が心疾患のリスクを高めるとして米国では含有量表示を義務づけることになった。留意しておきたい。
(後藤典子=NPO日本サプリメント協会代表理事)
Posted on 7月 24th, 2007 by admin
Category: 日経ビジネス連載
「自分にぴったりのサプリメントが欲しい」という消費者ニーズがある。そこで、あなたに適した“マイ・サプリメント”をご提供します、という売り方が出回っている。
お手軽なのは、店頭で「アドバイザー」が指南してチョイスする。あるいは簡単な問診に答えると、しかるべき商品が提供される。自分であれこれ悩むよりはラクだが、アドバイザーや問診にどれほどの信頼を置くかは、冷静にジャッジしたい。
ひとつには、アドバイザーの質や情報量には個人差が大きい、また問診もその根拠や精度を測る基準がない、という問題がある。つまり、商品を納得して買わせるための“お為ごかし”になっていないかということだ。
なかには、3日間の食事内容をつぶさに調べる栄養計算システムを利用したものもあるが、食材や調理方法による誤差、外食と自炊の差、さらには消化吸収能力の個人差などを考えると、一筋縄ではいかない。
やはり根拠となるデータありきだと、クリニックで血液検査をして、そのデータに基づいた栄養指導をするところも出てきた。ビタミンの血中濃度を測ったり、 耳たぶから採取した1滴の血液を顕微鏡で観察するLCA(血液細胞分析)を取り入れているところもある。検査データを栄養学的に読む専門家もいる。爪診断 や毛髪検査、虹彩検査になるともっと手軽だ。
こうした検査は、自分の健康(未病)状態を知るという点で、意義は大きい。ただし、財布と相談しなければならないので、十分に吟味したい。
(後藤典子=NPO日本サプリメント協会代表理事)
Posted on 6月 24th, 2007 by admin
Category: 日経ビジネス連載
私たちの身体を構成する成分の中で、水分の次に多いのがたんぱく質です。たんぱく質は体重の約20%、つまり体重50kgの人ならおよそ10kgがたんぱく質です。そして人の体のたんぱく質の種類は約10万、心臓をはじめ各種臓器や筋肉、皮膚、また成長ホルモンやインスリンなどのホルモンも、あるいは遺伝子DNAも、代謝の調節を行っている酵素も、これら約10万種類という膨大な数のたんぱく質は、わずか20種類のアミノ酸の結合の順序や組み合わせの違いによって作られているのです。
ま た、アミノ酸はたんぱく質の構成要素であるばかりではありません。ビタミンの一種であるナイアシンは私たちの体内でアミノ酸の一つであるトリプトファンか ら作られます。神経機能の調節に重要なエピネフリン、ノルエピネフリンやセロトニン等もチロシンやトリプトファンから作られています。
こうしたアミノ酸は、たんぱく質を構成しているアミノ酸(結合アミノ酸)とは別に、それぞれがバラバラの状態で(遊離アミノ酸)常に体内に蓄えられており、ビタミンやホルモンを作る材料として使われたり、たんぱく質を合成するために使われます
さ て、私たちはこうしたアミノ酸の働きを維持するために、毎日の食事からその必要量を摂取しなくてはなりません。20種類のアミノ酸のうち、体内で他のアミ ノ酸などから合成されるものを「非必須アミノ酸」と呼び、これ以外の9種類(下記参照)は体内では合成できず、食物から摂るしかないので、これを「必須ア ミノ酸(不可欠アミノ酸)」と定めて、健康維持の要としています。列記すると、
①イソロイシン、②スレオニン、③トリプトファン、④バリン、⑤ヒスチジン、⑥フェニールアラニン、⑦メチオニン、⑧リジン、⑨ロイシン
の9種類が必須アミノ酸で、いずれも機能性物質としての重要性は高く、たとえば肝機能強化、疲労回復、老化の抑制、成長促進、筋力増強、貧血予防、神経機能の亢進、ストレスの軽減、性感の増強、肌のみずみずしさの保持など、さまざまな生理活性機能に寄与しています。
ま た、これまであまり注目されていなかった非必須アミノ酸にも、たとえばアルギニンの免疫増強作用や、潰瘍の治療薬として使われているグルタミンに消化管の 粘膜を増殖させる作用があるなど、いろいろな働きがあることが解明されて、アミノ酸の生体内機能について、さらに大きな関心が持たれています。
そしてこうしたアミノ酸のもつ多様な効果が、医療分野はもとより、スポーツサプリメントとして利用されたり、栄養状態が低下しがちな高齢者の健康維持に、また皮膚に含まれている天然保湿因子として、美容面での効果も見直されてきているようです。
(後藤典子=NPO日本サプリメント協会代表理事)
Posted on 5月 24th, 2007 by admin
Category: 日経ビジネス連載
この季節、「ダイエット」という言葉が氾濫する。そこで、ダイエット訴求のサプリメントとしてにわかに浮上してきたのが、「糖代謝促進」役のα-リポ酸と「脂肪燃焼」役のL-カルニチンだ。昨年から人気のCoQ10とあわせて、“旬”のトリオである。
人気の要因は、テレビの健康番組など、マスメディアの影響が大きい。とくに「ダイエット」に照準を合わせると一気に化けたりするので、いずこもここを狙ってしのぎを削る。
昨年は「にがり」人気が女性のハートをつかんだが、結局、体験談ばかりで研究データに乏しく、しぼんでいった。かわって台頭してきたα-リポ酸だが、“抗酸化”を旗印に登場したのに、いつのまにか切り口を変えて“ダイエット商品”になっている。
客向けのパンフレットを見ると、α-リポ酸は「肥満のもとの糖を分解!」「中年太りの原因はα-リポ酸の減少」などとある。食事では微量しか摂れないのでサプリで、というアピールだ。
確かにα-リ ポ酸は、食べたものをエネルギーにする過程でスムーズに機能するよう働くが、それを食事での摂取では不可能なほど多量に摂取することでダイエット効果をあ げる、という宣伝文句には飛躍がある。要は、消費カロリーを増やすために運動したり、頭を使ったりすればこそで、飲めば中年太りが解消するわけではない。
ブームはときに人心を惑わす。心地よい言葉ばかりがもてはやされ、下火になれば、また次の手が来る。しかし私たちの身体とはそういうものだろうか。食べ物とはそういうものだろうか。
(後藤典子=NPO日本サプリメント協会代表理事)
Posted on 4月 24th, 2007 by admin
Category: 日経ビジネス連載
その昔「タンパク質が足りないよ~」と謳うコマーシャルがあった。強く大きい体をつくるために、せっせと肉や牛乳などの動物性タンパク質を取ろうという時代だった。
それまで米や大豆などの植物性タンパク質をとってきた日本人は、「脂肪」もたっぷりの肉や乳製品のおかげで、今や動脈硬化や肥満の弊害にさらされている、と専門家は指摘する。ともすれば「タンパク質過剰摂取」としてやり玉に挙がる。
そ れならタンパク質はとらない方がいいのかと言えば、そうではない。特に中高年期に入ると、今さら筋肉を作る必要もなかろうと思いがちだが、内臓や血中のヘ モグロビン、髪や皮膚のコラーゲン、体を調節する酵素やホルモンなどもタンパク質から作られる。日々壊され、合成されるので、毎日補給してやる必要があ る。タンパク質が不足すると、スタミナ不足や免疫力の低下、脳の働きの鈍化、貧血や肌荒れなど、全身くまなくくたびれる。
もし血液検査のデータをお持ちなら、タンパク質の過不足を見る項目はいくつかある。総タンパク、アルブミン、尿素窒素、ヘモグロビン、リンパ球数など、低値になるにつれて不足と見る。
食 生活に気を配るなら、魚介や大豆を、肉や卵などと同比率で取りたい。タンパク質は20種類のアミノ酸の組み合わせからなるが、食べ物から取る「必須アミノ 酸」9種類のバランスが大切だ。9種類すべての必要量を満たしている「プロテインスコア100」のプロテインを、サプリメントとして補給するのもいい。
(後藤典子=NPO日本サプリメント協会代表理事)
Posted on 3月 24th, 2007 by admin
Category: 日経ビジネス連載
働き盛りの男性に“鬱自殺”が増えているという。不況や競争社会、デジタル社会からの疎外感など、ストレスの種は山ほどある。
こうした精神的ストレスに対する体の反応は、たとえば熱暑や騒音、放射線などの物理的ストレス、薬やアルコールなどの化学的ストレス、細菌やウイルスなどによる生物学的ストレスのそれと同等だ。
リストラのストレスを受けている人が、騒音に悩まされ、逃げ場としてお酒に頼る、となると、複数のストレスが重なり、体の負担は大きくなる。
ストレスを受けるとどうなるか。大脳新皮質に混乱が生じ、「自律神経系」や「ホルモン系」のコントロールが乱れ、そのダメージが身体の弱い部分に出る。女性の場合、卵巣ホルモンの分泌が乱れ、不妊症を招くこともある。
ここで重要なのは、一時の大きなストレスより、小さくても慢性的なストレスの方が体の負担は大きいということだ。じわじわとストレスが持続すれば、ストレスに対抗する副腎皮質ホルモンを分泌し続けることになり、副腎は肥大し疲弊する。
対 策には、まずは栄養補給を。サプリメントを利用するのも手だ。副腎皮質ホルモンの材料となるタンパク質、その合成に必須のビタミンC、脳の機能正常化に働 くビタミンB群、ストレスにより滞った血流を改善するビタミンE、イライラ解消に有効なカルシウムとマグネシウム、それに十分な睡眠を加えれば、ストレス に強い体が出来上がる。ここに、しなやかな考え方や生き方を添えれば上出来だ。
(後藤典子=NPO日本サプリメント協会代表理事)
Posted on 12月 24th, 2006 by admin
Category: 日経ビジネス連載
サ プリメントの商品に、滑稽な感じを受けたことはないだろうか。たとえば花粉症対策の商戦にぎやかだが、その商品名を見ると「アレル気サポート」「アレピ タッ!」など、連想ゲームのような命名が目に付く。商品まわりには、「スギなどの季節を快適に」とか「春の季節のお悩みに」とあるので、「花粉症に効きま すよ」と言いたいことはわかる。が、薬事法の規制でストレートに言えない。その滑稽さやもどかしさが、買い手に妙な不快感を与える。
商 品にはきちんと開発されたモノもあれば、商品名と箱のイメージだけで売ろうとするモノもある。本来、その含有成分の機能性や、原材料の確かさが、情報とし て買い手に提供されるべきものだが、まだ曖昧な食品の分野だから混乱を招くという危惧もあって、物言うことを禁じられている。これを正しく守ろうとする と、買い手にとっては訳の分からない商品になる。
一 方で、巧みに物言う策士もいる。先頃、「がんに効く」という出版物でアガリクス商品を売ったとして、薬事法違反に問われた出版社がある。本の巻末に問い合 わせ先を掲載し、客を呼び込む、いわゆる「バイブル商法」だ。こうした狡猾な売りの手口を見極めるには、やはり感度が必要だ。
薬 事法の規制でいうと、「飲み方」の表示もそのひとつで、食後とか就寝前、一回3粒といった表現はだめ。薬と見紛うから、という理由らしいが、実際「一日6 粒を目安に」とあって、朝一度に6粒摂る人がいる。通常は食後、分けて摂るのが望ましいのだが、こうした情報は自分で収集するほかない。
(後藤典子=NPO日本サプリメント協会代表理事)